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2005年10月20日
HP開設

 本当にようやくホームページを立ち上げることができた。これはひとえにデザイナーの奥谷(パズライトゾーン)さんのお陰以外の何ものでもなく怠け者の自分だけだったら数年どころか永遠に日の目を見ることが無いような気がする。感謝感謝である。
 「亜空間の紹介」では明快な現象をできるだけ易しく解説することを心がけようと思う。2週間に1度くらいは掲載しようと今は考えているが,先のことは保証できないので,なるべく間隔を置かず気長にゆっくり進めるくらいに留めておこう。「日記」では「亜空間の現象」ページで紹介する内容の周辺の話題を中心に書いていこうと思う。少しでも亜空間に関連しそうな話題はどんどん扱うことにしよう。だが,話題があればという前提になるので結局は不定期になるが,まあ,亜日記とでも呼べるものになればいいと思っている。その他はぼちぼち取りかかるつもりだ。
 飽きずに関心を持ってくれる人が一人でもいたら嬉しいのだが。

2005年11月2日
電飾

 昨日,デパートの前の鋪道を歩いていたときのことだ。近頃は11月になるともうクリスマス商戦のようで,神戸のルミナリエを真似た飾り付けが流行っているのかこのデパートでも長い軒下を利用してアーケード状にイルミネーションが連なっている。数百個の電球で模様を作ったパネル状のものが二,三十枚連なっているのを通して見るようになっているので,近くのものを見る限りは貧弱だが,視線をアーケードの先に向けるとたちまち豪華に見えるのがこの仕掛けのミソなのだろう。
 飾り付けを見ながらアーケードの中程まで進んだとき,数枚先のパネルの一部で消えていた電球が順番についていく様子が見えた。演出かなと思ったが他にはそんな様子のパネルもなく,不思議な気持ちが残ったままその地点に近づいて初めて理由が分かった。鳩がパネルの上部に止まるために飛んで来ていたのだ。夕暮れで鳩のシルエットが被いとなり,その移動につれて隠れていた電球がついたのだった。
 わずかな時間だったが現象と事実とのギャップを楽しむことができた。

2005年11月7日
滑空

 よく利用するJRのターミナル駅の側に架かる50メートルくらいはある長い跨線橋を早足で歩いていたときのことだ。左の方向に目の隅で景色とは異なる何かをとらえた気がしたが,あえて正面から視線を動かさずに歩き続けた。10歩ほど歩く間,それは視野の左側で後方へ流れていく景色に抵抗してまるで自分の肩などの体の一部と同じように安定しそこにあり続けたが,橋の途中にそびえる鉄塔の近くまで来たとき突然周りの景色と同様に後退し始めたので驚いてそちらに視線を向けた。鳩だった。鉄塔に止まるためにスピードを落として橋と平行に滑空していたのだろう。歩く速さと偶然そろったとき私の真横を飛んでいて,鉄塔のごく近くで羽をあおるようにして止まろうとして更にスピードを落としたことで視野からずれて行ったものと思われる。取り巻く空間の中で予定調和的な動きはその速さの程度にかかわらず無視され続ける。だが,視野の中で安定していると思いこんでいた存在が不意に動くことによって生じる変化は空間に亀裂が入ったのではないかと思わせる楽しみの瞬間を与えてくれる。

2005年11月13日
ペーパームーン

 昨日の夕方,太陽は大きく傾いて山に隠れる寸前ではあったが,直視できないほどのオレンジ色の輝きを放っていた。まだ十分に透明な青さを保っている空の東の方を見上げると,上弦と十三夜の中間くらいのくっきりとした白い月があった。夜見る月は空の暗さと月の欠けた部分が同化してそこに違和感を覚えることはないが,このときは違った。透明な青空に和紙でできたような月が貼り付けられているように見えた。すると空のほうが月より遠くにあり,手前には影の黒い部分が無い始めからその形をした月がそこにあるように思えてしまった。奥行きを感知する視差などの限界を遙かに超えた距離にあるものに,こういった前後感を覚えるのはなんとも不思議なものだ。
 今の夕暮れは西には宵の明星が東には火星が輝いていてうす汚れた都会の空を楽しませてくれる。昨日の月はその空を更に華やかなものにしてくれた。
 月には三日月,寝待月,有明月などの状態に応じた呼び名がたくさんあるので,先ほど見た月の名前を知ろうとして辞書やWebで調べたがまったく引っかからなかった。ご存じの方にぜひ教えてもらいたいと思っている。

2005年11月26日
ベランダの柵

 リビングルームから外を見るとベランダの向こうに景色が広がっている。山並みが映える日は運動不足の解消をかねて,足をベランダ側に向け膝を立て両手を頭の後ろで組んで上体起こしの腹筋運動をすることがある。すると,ベランダの柵の隙間を通して見える景色はいつもとは逆のおもしろい動きをする。上体を起こして顔が近づくと景色は遠ざかり,体を寝かせて景色から遠のくと景色が近づいて見えるのだ。
 当然,柵のほうが顔との距離は景色より近いので,近づいたり遠のいたりすることで見える大きさの変化は激しいはずだが,手に持ったコインの大きさが腕を曲げた状態で見たときと伸ばしたときとで異なったようには見えないのと同様で,柵に大きさの恒常性が作用するのではないかと思われる。そのために背景のほうが柵の棒と棒の間隔の変化の影響を受けて,近づいて間隔が広くなったときに相対的に小さく見えるので遠のいたように感じ,遠のいて間隔が狭くなったときに大きく見えて近づいたように感じるのだろう。

2005年11月30日
暗黒の空間

 JR大阪駅のホームから南側を見るとアクティ大阪の建物が目に入る。その壁面には各フロアの区切りを示すかのように水平な直線状のイルミネーションが並んでいる。夜になるとこの巨大なビル自体が漆黒の背景となりシンプルな光の飾りを際立たせる役割をする。そのイルミネーションをビルからいくつかのホームを隔てた京都線あたりから見ると,目の前を暗黒の大きな空間の塊がうごめいて驚かされる。それは瞬きをしても消えず,体のわずかな動きに反応して激しく左右に行き来する。
 ビルとの間には何本もの線路が走っているため,線路上方の架線やそれを支える緩いカーブを描くケーブルが水平のイルミネーションを偶然に隠すことになる。光の前を横切る黒い架線などがいくつか合わさった状態が不可解な塊を作り上げ,体の動きに手前のほうのケーブルが背景に対して大きく移動することによって生じる現象だと思う。

2005年12月27日
地下道

 手を伸ばせば触れるくらいの低い天井の通路を見上げながら歩くと,天井が猛烈なスピードで迫って来て飛ぶように後ろに去っていく様子が見られる。歩く速さそのものは普段と変わらないので,肌に余分な風圧を感じたり心拍数が上がったりするわけではないことから天井のほうが勝手に高速で移動しているように見える。
 これはちょうど映画「スターウォーズ」のオープニングで巨大な宇宙船がスクリーンの奥から観客の方に向かって頭上をかすめるようにして後方へ移動していく感覚に襲われるのと似ていると書こうとして,SF映画フリークの田中哲弥さんに確認すると,逆で,宇宙船は後方から現れてスクリーンの奥に進んで行くのやとたしなめられた。記憶のすり替えだが,こういった意識の誤謬も亜空間の底を流れる無意識の問題とつながっているので,今後この日記では扱っていこうと思う。
 壁のほうを向いて壁沿いに歩いてもスピード感を体験できるが,天井の場合の迫力にはかなわない。日常のすぐ隣にあるこの現象をぜひ体験してほしいと思う。